私たちは、このような未来の重要な土台となる鉱物について多くのリサーチを実施し、エネルギー転換にとっての重要性、供給の制約要因、そしてこれらすべてが投資家にとって重要な理由などを探ってきました。
アバディーン・インベストメンツのシニア・インベストメント・ディレクターであるIain Pyleが、このテーマに関するいくつかの疑問にお答えします。
フューチャー・ミネラルとは何か、それはなぜ重要なのか
フューチャー・ミネラルとは、将来の経済発展に不可欠な採掘資源であり、化石燃料から電気へというエネルギー転換に欠かせないコモディティとほぼ一致しています。私たちは、こうしたコモディティの多くに対する需要は、今後数年間で大幅に増加すると予測しています。
どのようなものがあるのか
フューチャー・ミネラルとしては、銅、リチウム、アルミニウム、プラチナ、ニッケルなどが挙げられます。例えば、銅は導電性に優れているため広く使われており、ほとんどの電子・電気製品に欠かせない金属です。しかし、将来の需要は、電力網や電化における利用や、電気自動車(EV)での大量使用によっても押し上げられる見込みです。
一方、リチウムはEVに電力を供給するリチウムイオン二次電池として重要です。2040年には、2020年の約42倍のリチウムが必要になると推定されています。
「スーパーサイクル」とは、構造変化によって何かに対する需要が長期にわたって著しく増加する期間のことであり、これは持続的な価格上昇につながります。現在は、フューチャー・ミネラルにとっての新たなスーパーサイクルの始まりにあると私たちは考えます。
需要を牽引するのは、必要性と政府の政策です。化石燃料から電力に移行することの必要性は明らかで、こうした動きは新たな規制によってしっかりと支えられています。需要は少なくとも今後20年ほどにわたり、複数の景気サイクルを通じて堅調に推移する見通しです。
一方、供給は抑制されるでしょう。鉱業会社は過去10年間、新たな資源開発に投資をしてきませんでした。つまり、生産能力はそれほど増えていないということです。生産能力があるところでは、生産量と品質が低下しています。
こうした動向を最大限利用するために、投資家は何に注目すべきか
投資機会は多様で、バリューチェーン(製品やサービスを生み出すために必要な一連の活動)のすべてのポイントに存在します。投資家は、(鉱物そのものではなく)それぞれのフューチャー・ミネラルに関連する企業に投資するべきです。それがコモディティ価格の上昇に乗じるためのより良い方法であることを歴史は物語っています。
現在はこのセクターにとってエキサイティングな時期であり、数十年に一度の好機となり得るスーパーサイクルの始まりに向けて、すべての条件が整いつつあります。
Iain pyle、シニア・インベストメント・ディレクター
鉱業会社だけでなく、地中から鉱物を採掘するのに必要な設備を供給する企業など、バリューチェーンの川上にも目を向けましょう。また、バリューチェーンの川下では、フューチャー・ミネラルの1つまたは複数を用いて製造される製品(EVなど)に注目しましょう。
その他の興味深い分野としては、輸送・建物・製造業の脱炭素化を支援する企業、バッテリーメーカー、永久磁石モーターを製造する企業などが挙げられます。
なぜ今、投資を検討するべきなのか
現在はこのセクターにとってエキサイティングな時期であり、数十年に一度の好機となり得るスーパーサイクルの始まりに向けて、すべての条件が整いつつあります。
望ましい参入タイミングは、市場が緩やかな推移から転換点を迎え、急激に上昇し始めるポイントです。
中国を見てみると、自動車販売台数に占めるEVの割合は2020年の約2%から昨年には約45%にまで急増し、極めて急速に普及が進んでいます。
先進国でのEV普及はさほど進んでいませんが、内燃エンジン車の販売停止が始まり、EVがより安価になるのに伴い、普及は加速するでしょう。
例えば、英国のナショナル・グリッド(National Grid)は今後10年間の設備投資計画を発表しており、グリーン移行を支えるインフラ投資が主な優先事項であることは明らかです。
これだけの需要があるため、上述の通りしばらくは供給が追いつかないと思われ、需給要因が価格を下支えする見通しです。
アクティブ運用により、重要なことに焦点を絞り、長期的に業績向上が期待できる優良な企業を保有することが可能です。また、構造変化にも柔軟に対応できます。
ただし、投資期間中には短期的なコモディティ・サイクルが何回か起こるでしょう。アクティブ運用の投資家は、他の大勢が最も人気のある投資先に群がっているときに、価値を追求することができます。
アクティブ運用は、投資家が環境・社会・ガバナンス(ESG)リスクをより適切に管理することも可能にします。これは、新興国で事業を行っていることが多い鉱業会社に関わる際の重要な考慮事項です。
上記に記載した企業は、例示のみを目的として選択されたものであり、投資推奨を意図しておらず、将来の運用成果を示唆するものでもありません。