フューチャー・サプライチェーン戦略:1年を振り返る
グローバル経済の再構築に投資する

所要時間: 2 分
日付: 2026年5月11日
Q1.フューチャー・サプライチェーン戦略は1年余り前にローンチされました。当時を振り返ると、この戦略をローンチしたときの当初の考えはどのようなものだったのでしょうか。
Blair Couper :
その多くは、現実の世界で起きていることに由来するものでした。今後10年間は、人口動態、債務、脱グローバル化といった避けられない構造変化により、過去10年間よりも低い成長率と根強いインフレが特徴となる可能性が高いと思います。こうした背景から、私たちはマクロ経済環境が低迷する中でも力強い成長が見込めるトレンドに、投資家の皆様の資産を振り向けたいと考えました。サプライチェーンの性質の変化、またそれを支える構造的要因は、まさにそうしたトレンドの1つです。
サプライチェーンは、投資家がほとんど気にもかけなかった存在から、供給不足、遅延、地政学的緊張などを背景に、突如として日々意識せざるを得ない重要な関心事となりました。私たちは、これが単なる一時的な混乱ではなく、はるかに大規模で長期にわたる変化の始まりであると感じました。この戦略の真の目的は、最新のニュースに一喜一憂するのではなく、熟慮された長期的なアプローチでそうした変化を捉える手段を投資家の皆様に提供することにあります。
Q2.「サプライチェーン」という言葉には様々な意味があります。未来のサプライチェーンを投資機会として考える場合、それをどのように定義しますか。
Jamie Mills O'Brien:
それはまさに、グローバル市場の極めて多くの領域に関連する投資機会です。私たちにとって、未来のサプライチェーンとは単にモノをA地点からB地点に移動させるだけのものではありません。重要なのは、国や企業、産業界が生産拠点やその安全確保、求められる持続可能性をどのように見直しているかという点です。その意味で、未来のサプライチェーンは技術、エネルギー、製造、インフラにまたがるグローバル経済の広範な再構築そのものと言えます。
好例は、防衛と再工業化(私たちが選好する2つのテーマ)です。20年以上にわたる資本ストックへの投資不足の後、米国は防衛や自動化の分野で中国との格差を埋めるため、インド太平洋地域の同盟国、特に韓国と日本への依存度を大幅に高めています。ここでの共通する考え方は「適応」です。すなわち、より分断され、確実に厳しくなっている世界に、国や企業が対応していることです。
Q3.この戦略は、国家安全保障、強靭なサプライチェーン、脱炭素化という3つの柱を軸に構築されています。これらの柱はどのようにして生まれたのでしょうか。
Blair Couper:
3つの柱は、政府レベルや企業レベルでの意思決定を左右する要因を分析した結果、導き出されたものです。国家安全保障は、経済政策の中心的要素となっています。強靭性とは、脆弱性や混乱を減らすことです。脱炭素化はエネルギーシステムやインフラの構築方法を変えつつあります。これらは互いに重なり合い、補強し合っています。私たちはこの3つを個別のテーマというよりも、同じ構造変化の異なる側面として捉えました。
Q4.世界的に、自動化、リショアリング、ローカライゼーションが大きなテーマとなっています。最も騒がれているトレンドやニュースを単に追いかけるだけにならないために、どのような点に留意していますか。
Jamie Mills O'Brien:
それはやはり投資規律に尽きます。私たちのテーマ型投資のプロセスで重視しているのは、グローバル経済を形作る最も強力な構造的成長トレンドから価値を創出できるテーマを特定し、さらにその中で有望な企業を見出すことです。そのため、私たちは多くの時間を割いて、事業の質や長期的なファンダメンタルズを徹底的に分析しています。同時に、企業のファンダメンタルズではなく、ストーリーや過剰な期待が熱狂を煽っている分野に対しては警戒を怠りません。
リショアリングや防衛支出の増加から恩恵を受けている企業であっても、健全なバランスシートや強力な競争優位性、魅力的な収益性を支えるビジネスモデルが必要です。テーマに合致する企業は投資対象として検討しますが、自動的にポートフォリオに組み入れるわけではありません。
Q5. 戦略のローンチから1年が経過しましたが、その間に何を学びましたか。市場、さらには地政学的情勢が変化する中、戦略において何か変わった点はありますか。
Blair Couper:
変わった点があるとすれば、この1年で私たちの当初の考えがさらに確固たるものになったということです。政策介入、防衛支出、産業支援は目を見張る規模になっています。その一方で、私たちは柔軟性が大切であることも学びました。変化には、予想より速く進むものもあれば、時間がかかるものもあります。戦略の枠組みは変わっていませんが、価値がいつ、どのように生まれるかについての私たちの理解は確実に深まっています。
Q6.サプライチェーンは現在、1年前よりも一段と大きくニュースで取り上げられているようです。サプライチェーンの重要性が低下するのではなく、高まっているのはなぜだと思いますか。
Blair Couper:
最近の出来事は、根底にある圧力が消え去ったのではなく、むしろ強まっていることを示しています。地政学的な不確実性、エネルギー安全保障を巡る懸念、貿易摩擦は、今ではグローバル経済の構造的な特徴となっています。過去50年にわたるグローバル化の時代は幕を閉じ、世界は中国、米国、欧州を軸に勢力圏が対立し、分断されるという新たな局面を迎えています。各国政府は国内生産と内需を積極的に後押ししており、企業もこれに応えています。このような世界において、サプライチェーンは単なる事業運営上の問題ではなく、戦略的な最重要課題であり続けています。
Q7.ポートフォリオの構築を検討している投資家は、サプライチェーン戦略を従来のグローバル株式投資とどのように組み合わせるべきでしょうか。
Jamie Mills O'Brien:
私たちは、この戦略を代替的なものではなく、補完的なものと考えています。従来のインデックスは、世界のこれまでの歩みを反映しています。一方、テーマ型戦略は、世界がこれから向かう先を見据えています。サプライチェーンは多くのセクターや地域に関わっていますが、その動向は全般的な市場サイクルとは異なる要因に左右されます。そのため、ポートフォリオの強靭性を高めたい投資家にとって、サプライチェーン戦略は有用な分散投資手段となり得ると考えます。
Q8. サプライチェーンが単に維持されるのではなく、再構築されている場合、どのような企業が際立つ傾向にあるのでしょうか。
Jamie Mills O'Brien:
多くの場合、それは変化に抵抗するのではなく、変化を可能にする企業です。具体的には、自動化、インフラ、エネルギー・ソリューション、専門部品を提供する企業などが挙げられます。これらの企業に共通しているのは、変化に適応する能力です。こうした企業は、古いモデルに固執するのではなく、他の企業が効率性、安全性、持続可能性を高められるよう支援しています。
Q9.最後に、フューチャー・サプライチェーン戦略の本質をどのように総括しますか。
Blair Couper:
フューチャー・サプライチェーン戦略の本質は、再構築が進むグローバル経済に投資することにあります。サプライチェーンはもはや、コスト効率だけを追求するものではありません。安全性、強靭性、長期的な持続可能性も重要になっているのです。この戦略は、こうした変革を状況の進展に応じて捉えられるよう設計されています。
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