私は最近、フロリダ州オーランドで開催されたレイモンド・ジェームズ米国株式カンファレンスに出席しました。昨年は、ほぼすべての投資家が米国経済とその底堅さを称賛していました。企業の経営陣は楽観的で、米大統領選挙で誰が勝とうと2024年は「例年通りの年」になると予想していました。こうした楽観姿勢は報われ、米国株式市場は2024年に再び記録的な上昇を達成しました。

時は流れ…

今年のムードはより強弱が交錯し、悲観的な見方に傾いていました。投資家は「米国例外主義」の時代が終わりつつあるのではないかという疑念を口にしていました。カンファレンス参加者の多くは、「Chat(チャット)GPT」の低コストのライバルとして中国のDeepSeek(ディープシーク)の新モデルが発表されたことと、それが米国のテクノロジー・セクターに与える影響に動揺し、精神的に疲れ果てた状態で会場に到着しました。米国の決算発表シーズンも、今年は長く感じられました。ほとんどの企業が業績予想を上回ったものの、不確実性の高まりや目まぐるしく変化するニュースを背景に、業績見通しについては多くの企業が慎重でした。

誰もが口にしたのは、ドナルド・トランプという名前でした。大統領選挙の後、投資家はトランプ氏が成長促進・規制緩和政策の時代を切り開き、米国経済を牽引すると期待していました。トランプ氏が隣国のメキシコとカナダに攻撃的な関税を課して市場の混乱を引き起こし、投資家を動揺させると予想する人はほとんどいませんでした。

今回のカンファレンスでは、ほとんどの企業ミーティングが同じようなパターンをたどりました。すなわち、投資家が「関税が貴社の事業に及ぼす影響と、その対応策を教えてください」と質問し、企業が「関税の規模や実施方法が明らかになるまで、影響を数値化したり、行動を起こしたりするのは不可能です」と答える、という具合です。関税はインフレにつながる可能性が高く、米国金利はより長期にわたって高い水準にとどまり、不確実性は望ましくないほど大きい、という見方がコンセンサスでした。

幸い、出席したすべてのミーティングでトランプ大統領と関税が話題の中心になったわけではありませんでした。際立っていたのは、最近5年目を迎えたアバディーンのグローバル中型株戦略で保有しているTradewebBrown&Brownの2社です。

企業ミーティング

Tradewebは債券に特化した電子取引市場の世界的有力企業であり、金利市場では第1位、クレジット市場では第2位のプレーヤーです。同社は参入障壁の高い業界で事業を展開しており、持続的な競争優位性を持っています。例えば、ワークフローに組み込まれた広大な顧客ネットワーク、幅広い製品ラインナップ、堅牢な市場データと分析などです。

ミーティングでは、私の投資テーマが改めて裏付けられました。すなわち、Tradewebは音声ベースの取引と比べて効率的で費用対効果が高く、流動性も高い債券電子取引の増加といった長期的な成長トレンドから恩恵を受けているということです。また、国債・社債の発行増加や上場投資信託(ETF)への関心の高まりを背景とするグローバル債券プールの拡大や取引高の増加も、同社の追い風となっています。私たちが株式を取得して以降、Tradewebは取引のボラティリティが高まる中で市場シェアを拡大し、堅調な業績を上げ、成長しています。

次に紹介するのは、リテールおよびホールセールの保険仲介と保険プログラムを提供する多角的な保険ブローカーであるBrown&Brownです。保険仲介は、保険業界のバリューチェーンの中で最も魅力的な部分と考えられています。ブローカーは、顧客と密接な関係を持ち、経済的要素をコントロールし、高い顧客維持率を誇ります。重要なのは、ブローカーが主要な保険リスクを負うことなく、手数料やコミッションを得られることです。

ミーティングでは、経営陣が規模、現地化、文化面での競争優位性を高めることに全力で取り組んでいることが強調されました。Brown&Brownは引き続き好調な業績を上げ、業界トップの利益率を維持し、力強いキャッシュフローを生み出しています。市場ボラティリティや不確実性の高まりを背景に、投資家はBrown&Brownのような信頼性の高い長期成長銘柄に安全性を求めています。

カンファレンスを終えて…

私はアバディーンのフィラデルフィア・オフィスを訪れ、米国小型株チームと一緒に時間を過ごしました。米国のあらゆる事柄について現場の意見を聞き、新しい有望な株式投資のアイデアを共有できたことは有意義でした。次のレポートで、そのいくつかを紹介できることを楽しみにしています。

 

上記に記載した企業は、例示のみを目的として選択されたものであり、投資推奨を意図しておらず、将来の運用成果を示唆するものでもありません。