最近の経済情勢の変化は世界の市場、特に米国小型株に大きな影響を及ぼしています。米国のすべての貿易相手国に関税の適用が拡大されたことで、世界的な貿易戦争の懸念が高まると同時に、消費者と企業はより大きな不確実性を感じています。
投資家にとっては投資の質に重点を置くことがますます重要になっていると私たちは考えます。
このような混乱した予測不可能なマクロ経済環境で、投資家にとっては投資の質に重点を置くことがますます重要になっていると私たちは考えます。概して強靭なビジネスモデルと健全な財務を特徴とするハイクオリティ企業は、長期的な成長可能性を損なうことなく経済の嵐を乗り切れるユニークなポジションにあると言えます。
クオリティとは
クオリティの定義は業界全体で異なりますが、クオリティを確認するのに用いられる共通の特性としては、低い財務レバレッジ、低い収益ボラティリティ、安定したリターンなどが挙げられるでしょう。しかし、定量的な要素を見るだけでは、企業の真の強靭性を限定的にしか把握できない可能性があります。
クオリティは、業界ダイナミクスの変化、顧客やサプライヤーとの関係、経営陣の戦略と執行能力などの重要な要素を考慮したより包括的なアプローチを採用することで、より適切に評価できると私たちは考えます。こうしたフレームワークは、景気悪化に耐える一方で景気拡大期を生かし、景気サイクルを通じて持続的な成長をもたらす可能性が最も高い企業を特定するのに役立ちます。
潜在的なダウンサイド・プロテクション
市場のボラティリティが高い時期には、投資家は通常、資本の保全をより優先します。ほぼすべての企業がインフレ、関税、個人消費の低迷、企業投資の抑制といったマクロ経済要因の影響を受けるものの、一部のクオリティ企業は本質的にこれらの問題に対処するのに、より有利な立場にあります(図表1)。
図表1:1990年以降の市場下落局面におけるクオリティ株指数と総合株価指数の比較
「複利」の力
景気の悪化はしばしばハイクオリティ企業の真の強さを浮き彫りにしますが、景気サイクルを通じて下される決定が企業の長期的な成功の基礎を築きます。こうした企業は競争上の強みを持ち、価格決定力を維持し、最高クラスの人材を集め、他社が投資できないときに戦略的に投資する傾向にあります。時間の経過とともに、これらの優位性は複利のように積み重なり、投資リターンを高め、景気サイクルを通じた力強いパフォーマンスにつながります(図表2)。
図表2:クオリティ株の累積アウトパフォーマンス
おわりに
小型株運用を成功させる礎は、強力で持続可能なビジネスモデルを持つハイクオリティ企業を特定し、こうした企業に投資することにあると私たちは考えます。これを達成するには、世界的な投資家ネットワークと独自の分析ツールに支えられた綿密で直接的なファンダメンタル・リサーチに基づく規律あるアプローチが必要です。深く掘り下げた調査は差別化された洞察を生み出すことが多く、このような洞察は、的を絞った確信度の高いハイクオリティ企業ポートフォリオとして最も効果的に具現化できると私たちは考えます。時間の経過とともに、このプロセスは市場のストレス時に有意義なダウンサイド・プロテクションを提供しつつ、魅力的な長期リターンをもたらす可能性があります。