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気候変動を巡る現実:インフラ投資に政策的視点が必要な理由

本稿では、投資家が脱炭素化をどのように支援することができるかについて、より現実的な視点を示します。

執筆者
Head of Sustainability – Economic Infrastructure
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所要時間: 3 分

日付: 2026年7月30日

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の金融市場グループによる新たな報告書が、投資業界全体で大きな議論を巻き起こしています。調査チームは、60機関以上のアセットオーナーや資産運用会社(運用資産総額50兆米ドル)が参加したワークショップでの議論を踏まえ、経済全体の脱炭素化に対する投資家の影響力が過大評価されてきたと結論付けました。この報告書では、脱炭素化は、主に政府の政策とテクノロジーによって牽引されるとの見解が示され、投資家が移行を支援することは可能であるものの、資本配分、スチュワードシップ活動、ポートフォリオ目標だけで政策を代替することは困難であると主張されています。

インフラなどの実物資産への投資に携わる者にとって、このような現状の多くは馴染み深いものでしょう。インフラ投資家は常に、他の大半の市場分野の投資家よりも、政策、規制、物理的施設に近いところで活動してきました。インフラ資産は稼働期間が長く、資本集約的であり、許認可、価格・料金設定、規制の枠組みから直接的な影響を受けます。政策と投資可能性の関係は、机上の空論ではありません。それは、こうした事業のアンダーライティング、保有、運営・管理を行う上での日々の現実です。

 

LSEの調査は、インフラ実務家が長年理解してきたこと、すなわち、気候関連の成果は主に政策とテクノロジーによって決定づけられるという事実に、明確な裏付けと論理的枠組みを提供しています。投資家の役割は、政策とテクノロジーによって商業的な採算性が確保される分野に資本を配分し、資産を運営・管理することにあります。

 

正しい意図と機能しない仕組み

LSEの調査結果の核心にあるジレンマは、インフラ投資家が日常的に対応しているものです。

 

気候変動は、経済的観点から見ると、政策によって左右される外部性にあたります。変化は、規制がカーボンプライシング、エネルギー効率基準、電化のインセンティブ、市場設計を通じて根底にある経済性を変えることによってもたらされます。規制が機能しなければ、投資家や企業による自発的な取り組みが、システム全体で問題を解決できる可能性は低くなります。競争市場においては、企業に対して規制に先んじてコストを内部化するよう期待することは、受託者責任や競争力との間に持続が困難な摩擦を生じさせます。

 

だからといって、投資家が受動的な姿勢に甘んじてよいわけではありません。投資家は政策策定に関与するとともに、市場インフラを支援し、重要なリスクが適切にプライシングされるよう取り組むことが可能であり、またそうすべきです。重要なのは、これらの活動は政策の代替ではなく、政策の方向性に沿って機能するという点です。

 

この課題は、実際の投資チェーンの仕組みによって、さらに複雑なものになっています。アセットオーナーは、財務リターンにとどまらない成果を追求し、その目標をマンデートに組み込むことが可能です。一方、アセットマネジャーは異なる立場にあります。アセットマネジャーはマンデートの枠内で、競争の下、顧客の最善の利益のために行動する義務を負って投資を行います。他者も同様の行動を取ることに依拠したシステム全体の成果に向けてコストを吸収することは、明確な権限が与えられていない限り、正当化が困難な場合があります。

 

システム全体の目標とマンデートに基づく権限との間にあるこうした不一致が、業界全体における最近の方針見直しの背景にあります。これは、気候変動への関心が薄れたというわけではなく、当初の変革論(セオリー・オブ・チェンジ)が市場に過度に依存し、政策の役割を十分に重視していなかったという認識によるものです。アセットオーナーが、財務上重要な要素の運用への組み入れを超えた気候変動に関する成果を求める場合、暗黙の市場圧力や業界の規範に頼るのではなく、マンデートにおいて明確に規定することが適切です。

 

インフラに関しては、変革論は常に政策の影響を受けてきました。

 

基本原則としての政策

こうした考え方は、私たちが以前にも取り上げた「グラウンデッド・サステナビリティ(地に足のついたサステナビリティ)」(英語でのみご提供)の概念と整合しています。このアプローチは、環境要素が財務上重要であり、顧客のマンデートと合致する場合にそれらを運用に組み入れる一方で、支援的な政策枠組みがなければ、投資家や企業が達成できる成果には限界があることを明確にしています。

 

インフラにおいては、このような政策シグナルを直接的に確認することができます。欧州連合排出量取引制度(EU ETS)の輸送・建物への拡大といったカーボンプライシングや、炭素国境調整措置(CBAM)は、エッセンシャル・サービスの経済性を塗り替えています。エネルギー効率規制、電化へのインセンティブ、許認可制度の改革は、投資可能な移行の道筋を生み出しています。容量・柔軟性スキームも、系統サービスを提供できるプラットフォームの収益の多様化を後押ししています。

 

私たちが投資するフィンランドの地域暖房プラットフォームは、エネルギー安全保障政策とカーボンプライシングが足並みを揃えたことに伴い、燃料源を急速に転換しました。イタリアのバイオメタン資産は、国内のインセンティブがエネルギー安全保障、循環経済、脱炭素の政策目標と合致したことで拡大しました。また、英国とドイツでの鉄道電化への投資は、長期的なフランチャイズ構造と政府の脱炭素へのコミットメントに支えられています。いずれの事例でも、政策が条件を整え、私たちが専門知識、資本、長期的なスチュワードシップを提供することで、成果がもたらされています。

 

私たちがレジリエンス(強靭性)(英語でのみご提供)に関する最近のレポートで論じたように、最も魅力的な投資機会が生まれるのは、政策が脱炭素化とエネルギー安全保障、経済性の間のトレードオフを強いるのではなく、これらを整合させる場合です。こうした整合こそが移行を持続的なものにし、補助金やセンチメントだけに依存する資産と、真に優位なポジションにある資産を明確に区別します。

 

体系的な気候変動枠組み

政策主導の視点から論理的に導き出されるのは、資産を現在の排出量だけで判断するのではなく、移行の信頼性と経済的実現可能性の両方に基づいた分類枠組みです。私たちは、オリジネーション、デューデリジェンス、資産の運営・管理の全体にわたり、以下に示す4つのカテゴリーからなる気候変動枠組みを適用しています。

 

ロックイン資産:信頼できる形で評価することが不可能な移行リスクに直面している資産です。これらは投資ユニバースから除外されます。

 

エッセンシャル・インプルーバー:炭素集約的な場合もありますが、短期的には実現可能な代替手段がない重要なサービスを提供する資産です。政策やテクノロジーのトレンドに支えられた、価値創造につながる改善の道筋を備えているケースが一般的であり、私たちの地域暖房への投資の多くもここから始まりました。私たちは、化石燃料へのエクスポージャーを二者択一で捉えるのではなく、経営陣と協働して信頼性の高い脱炭素計画の策定に取り組みました。現在、これらの資産は、2030年までの暖房供給の脱炭素化に向けて順調に進んでいます。

 

ローインパクト・イネーブラー:本質的に排出量が少ない資産です。これらはエッセンシャル・サービスを提供しており、投資の根拠はサービスの重要性、規制の安定性、予測可能なキャッシュフローにあります。多くの送電・配電資産がこのカテゴリーに該当します。

 

移行整合資産:信頼性の高い計画を通じて、あるいは削減貢献量を創出することによって、脱炭素化を積極的に支える資産です。これらは、業界標準の定義を踏まえた、体系的な基準に基づいて評価されます。

 

この枠組みの目的は、資産にラベル付けをすることだけではありません。気候変動のリスクや機会を投資プロセスとは別個の独立したものとして扱うのではなく、プロセスそのものに確実に組み込むことを目的としています。

 

おわりに

学術的な知見とインフラ投資の実務実態との間には、歓迎すべき収斂が見られます。こうした収斂が続けば、様々な資産クラスにおける気候変動要素の投資プロセスへの組み入れは、政策面での現実、財務的マテリアリティや、投資家として何が可能であり、何が不可能であるかを率直に認めることにますます立脚したものになるでしょう。(規模を超えて:欧州のインフラのエンジンルーム(動力源)を再考する)取り組みは地域的、資産は物理的、ガバナンスは直接的であり、成果は測定可能です。2026年の気候変動リーダーシップとは、声高に宣言を行うことではありません。重要なのは、より適切なプライシングやより優れたガバナンス、また投資家が約束することと実際に実現できる成果との間でより緊密な整合を図ることです。

 

 

 

本内容は、原則として機関投資家のお客様への情報提供を目的として作成・公開しています。

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