「2025年第2四半期には、数社の投資先企業にとって重要なマイルストーンを実現することに注力しました。私たちは、通信事業に特化した投資先企業であるWessex InternetとDIGI Andalucíaの2社について、重要なデットファイナンス(借入による資金調達)を成功させました。また、英国の鉄道車両の一部の再リースを完了し、旅客列車の主要車両に関する資金調達戦略を引き続き着実に実行していることを証明しました。フィンランドのエネルギー会社Outokummun Energiaが新たに生物多様性に焦点を当てたことなど、サステナビリティへの取り組みが進展しているのも喜ばしいことです。私たちが最初の投資を実行してから今四半期で10年を迎えました。ポートフォリオは3つのファンドを通じて9ヵ国、21社に投資するまでに拡大しており、投資家や投資先企業とのノウハウの共有を通じて投資の継続的な発展を手助けできることを嬉しく思います。」

Dominic Helmsley、経済インフラ責任者

投資の最新状況

Wessex Internetが国富ファンドから5,000万ポンドの融資パッケージを確保

英国の家庭用光ファイバー市場における私たちの2番目の投資先であるWessex Internetは、英国の国富ファンド(NWF)から5,000万ポンドの投資を受けました。これは、極端に地方の地域にフルファイバーのブロードバンド通信を提供するという同社の使命にとって重要なマイルストーンとなるものです。この資本注入により、同社は従来の通信事業者がこれまで十分なサービスを提供してこなかったイングランド南西部の通信困難な14万の世帯・企業にネットワーク網を拡大できるようになります。

今回の投資は、2025年に実施された地方のブロードバンド投資の中でも最大級のもので、Wessex Internetのビジネスモデル、運用の専門知識、長期的な成長戦略に対する機関投資家の信頼の高まりを反映しています。同社は土地所有者との緊密なパートナーシップや地方でのネットワーク構築の革新的な技術を独自の強みにコストや混乱を減らし、一貫した商業実績と地方展開へのスケーラブルなアプローチを示してきました。

2010年に設立されたWessex Internetは、地元の事業から地域のリーダーへと成長し、今ではドーセット、サマセット、ウィルトシャー、ハンプシャーの4万の世帯・企業にサービスを提供しています。同社はProject Gigabit(英国政府による地方のブロードバンド通信向けの主要な資金提供プログラム)の契約を獲得した最初の事業者でもあり、2022年には7,200万ポンドの公的資金を受け取りました。NWFからの投資も合わせると、調達した資金によって同社は14万の世帯・企業という目標の達成に向けてサービス範囲を拡大できるでしょう。

この資金調達は、Wessex Internetの強固なファンダメンタルズと、英国のデジタル・インフラ格差の是正において同社が果たす重要な役割を際立たせており、通信市場の高い影響力・高成長を持つセグメントに投資する機会を投資家に提供しています。

「Wessex Internetが国富ファンドから5,000万ポンドの資金を確保できたのは喜ばしいことです。これは、地方のネットワーク接続に対する同社のアプローチの強みを証明しています。私たちは投資家として、地域社会に信頼性の高いインフラを提供することに取り組んできましたが、この資金調達は我々の共通の使命を大きく後押しするものです。今後も引き続きWessex Internetの経営陣と協力し、インフラ分野での投資経験を活かして、これまで十分なサービスを受けてこなかった地方に次の成長段階をもたらせることを楽しみにしています。」

Alex Anderson、インベストメント・ディレクター

Rock Railのサウスウエスタン鉄道が再リースに成功し、より多くの乗客に日々サービスを提供

2025年5月に、アルストム製の新しいアルテリオ鉄道車両90台が無事に再リースされました。これは車両寿命における重要なマイルストーンであり、こうした車両がロンドン南西部とその周辺地域の郊外交通網を支える中核インフラであることを裏付けています。

2025年5月、サウスウエスタン鉄道は国有化計画を通じて政府の管理下に戻された最初の事業者の1つとなりました。このタイムリーな措置は、事業者を政府管理下に置くスムーズな移行と、アバディーン・インベストメンツ/ Rock Railと英運輸省の継続的かつ強固な関係を示しています。

「Rock Railのパートナーの皆様とともにこのマイルストーンに到達できたことを嬉しく思います。こうした車両はより多くの収容人数と優れた移動体験を提供するもので、乗客や運転手に好評を博しています。残りの車両が旅客輸送に供されるにあたり、政府との協力を楽しみにしています。」

Nick Flynn、インベストメント・ディレクター

DIGI Andalucía - デットファイナンスとさらなる買収に成功

DIGI Andalucíaは、2023年9月にアバディーン・インベストメンツとDIGI Spain(DIGI Groupの子会社)が設立した合弁会社です。同社は直近で、銀行団から8,100万ユーロの優先債務ファシリティと300万ユーロのリボルビング・クレジット・ファシリティを確保し、資本構成を強化しました。このファシリティはネットワークのさらなる拡大を支援するものです。

DIGI Andalucíaは、スペイン南部のアンダルシア州とエストレマドゥーラ州で光ファイバーの敷設を加速させるために設立されました。合弁事業の開始時に約135万件のホームパス世帯(敷設工事が完了し、サービス提供が可能な世帯)を獲得した後、同社のプラットフォームは急速に拡大し、2023年から2024年にかけてさらに2度にわたりホームパス世帯を増やし、今では225万世帯に光ファイバー接続を提供しています。目標は引き続き、2025年末までに250万世帯にサービスを提供することです。

「今回の資金調達は、Digi Spainとのパートナーシップにおける新たな前進です。この関係を発展させ、アンダルシア州とエストレマドゥーラ州での同社の成長を支援できることを嬉しく思います。パートナーシップでは引き続き、質の高いインフラの開発、卓越した顧客サービスの提供、高速インターネットへのアクセスの普及に注力しています。」

Soti Calochristos、シニア・インベストメント・ディレクター

サステナビリティへの取り組み

Outokummun Energia Oyにおける生物多様性の強化

Outokummun Energia Oy(OKE)はRamboll Finland Oyと協力し、空中送電線路に重点を置いた生物多様性強化プロジェクトを立ち上げました。2024年に行った送電線路内の動植物にとって最も重要な場所を特定する基礎評価を受けて、2025年初夏に活動が開始されました。この活動には、在来の生息地や在来種を保護するための放牧、草刈り、外来種の管理が含まれます。鳥、カエル、昆虫の調査も進められており、さらなる措置が2030年まで計画されています。この取り組みの目的は、生態系のレジリエンスを向上させるとともに、地域社会のレクリエーション価値を高め、観光客を呼び込んで地域経済を活性化させることです。

OKEはこのような活動のリーダーと位置づけられており、地域の生物多様性の保全を主導する役割を果たす一方で、他の地域企業にも同様の取り組みを期待しています。このプロジェクトの初年度は大きな成功を収めており、私たちはOKEの活動が在来種や生息地の種類に与える影響を注視していきます。

サステナブル投資の最新状況

  • シニア・インベストメント・ディレクターのSoti Calochristosとインベストメント・マネジャーのAlister Bankheadは先般、Infrastructure Investorの取材を受け、地域のエネルギー転換の取り組みと結びついた投資案件をソーシングする際の私たちのアプローチについて説明しました。また、地方自治体や地元の産業パートナーと長期的な協力関係を構築することで、どのようにして脱炭素化目標を達成しながら、株主にとっての価値を生み出せるかについても話しました。詳細は次の記事をご覧ください:Aberdeen: Focusing on the local energy transition
  • サステナビリティ責任者のRuairi Revellは、Infrastructure Investorが次号で取り上げるサステナブルファイナンスに関するラウンドテーブルに参加し、サステナビリティの要素が投資プロセス(リスク評価、資産のレジリエンス、価値創造など)にどのように組み込まれているかについて洞察を共有しました。議論では様々なポートフォリオからの実例も取り上げられました。詳細は次の記事をご覧ください:Download the July/August 2025 issue of Infrastructure Investor

ネットワークの活用

投資先のエネルギー企業を結びつけ、学びを共有する

アバディーン・インベストメンツは6月に、OKEがポーランドで開いた戦略的オフサイト会議のファシリテーターを務め、投資先企業間のアイデア共有を支援しました。OKEが引き続きエネルギー転換と効率性向上を推進する中、同社とCERI(アバディーン・インベストメンツの太陽光発電プラットフォーム)やNomad Electric(アバディーン・インベストメンツの運用・保守パートナー)を結びつけることにより、数多くの運用上の洞察が得られました。これには、実用規模の開発、運用、保守、データ管理に関するベストプラクティスが含まれます。

私たちは下位ミドルマーケットのインフラ投資に重点を置いており、21件の投資で得られた豊富な知識を利用することに大きな可能性を見出しています。これは、ポートフォリオ全体の開発目標の達成に役立ちます。

イベント

・5月に、ロンドンで年次総会を開催することができました。この総会は、私たちの様々なポートフォリオの投資家、チーム、シニア・アドバイザー、パートナーが一堂に介する素晴らしい機会となりました。ポートフォリオ資産に関する最新情報を共有し、今年これまでに遂げた大きな進歩を紹介できたことを嬉しく思います。この日は、私たちが投資している様々なセクター(輸送、デジタル、エネルギー)の主要テーマについて検討する洞察に満ちたパネルセッションやプレゼンテーションが目白押しでした。いずれのセクターも、インフラの将来を形作るうえで重要な役割を果たしています。セクター別のパネルセッションの概要を以下に示します。

  • 輸送
    インベストメント・ディレクターのNicholas Flynnが司会を務め、タイムリーなテーマに関して数名のシニア・アドバイザーがディスカッションを行い、輸送の将来について検討しました。議論では、リース活動の主な動向や、輸送セクター全体の脱炭素化機運の高まりなどが取り上げられました。
  • デジタル
    インベストメント・ディレクターのAlex AndersonとWessex InternetおよびAirbandの非常勤取締役であるDavid Thatcher氏が、英国のデジタル市場の包括的な概要を説明しました。議論では、現在の課題とこのセクターで生まれつつある重要な機会が焦点になりました。
  • エネルギー
    運用責任者のMaciej Tarasiuk,が、Auris Energiaの最高経営責任者(CEO)であるAnni Sarvaranta氏とともに、欧州のエネルギー情勢について詳しく検討しました。より環境に優しく、より持続可能なエネルギー・ソリューションへの移行が加速していることなどを中心に、地方や地域のトレンドが検証されました。

・2025年9月22日にアムステルダムで開催されるFinancial Investigator conferenceで、運用責任者のMaciej Tarasiukがプレゼンテーションを行います。このプレゼンテーション(「Unlocking sustainable value: the role of infrastructure small-caps in the energy transition」)では、アバディーン・インベストメンツの低位ミドルマーケット・インフラ戦略に焦点が当てられます。金融レジリエンス、環境・社会・ガバナンス(ESG)面の目標を組み込みながら、エネルギー転換の課題にどう対処するかについて議論する予定です。

・アバディーン・インベストメンツは2025年9月24~26日にパリで開かれるIPEM conferenceのスポンサーを務めます。投資家や関係者の皆様と交流し、インフラの最新動向や今後の計画について話し合えることを楽しみにしています。

上記の企業は例示であり、投資運用スタイルの説明のみを目的としているもので、将来の運用成果を示唆又は保証するものではなく、また、これら特定の投資等の勧誘や推奨ではありません。

本データは当資料作成時点における事例を参考のために表示したものであり、今後もこれらの投資を継続することを保証するものではなく、また、本データから他の投資の価値等の推移を類推することはできません。