新興国債券:誤解と市場の実態
新興国債券は期待を上回り続けることができるでしょうか?

所要時間: 1 分
日付: 2026年2月27日
一方、米連邦準備理事会(FRB)は利下げを実施しており、新興国と先進国の成長率の差が拡大すると予想されています。これは新興国資産にとってプラスに働くはずです。
一部の投資家の間では、新興国債券は本質的にリスクが高い資産クラスであり、リターンもさほど魅力的ではないという認識がいまだに根強く残っています。そこで、2025年のリターンを振り返り、新興国市場と先進国市場を比較してみましょう。
図表1:2025年の新興国市場と先進国市場のトータルリターン(%、英ポンドヘッジあり)
2025年には、新興国市場が先進国市場を大幅にアウトパフォームしました(図表1、2)。私たちは、新興国市場の利回りは今後も先進国市場を上回ると予想しています。
図表2:2025年の新興国市場と先進国市場の利回り(%)
ハードカレンシー建てソブリン債:高まるモメンタム
新興国のハードカレンシー建て債券の利回りは低下しているものの、依然として米国のハイイールド債よりも高い水準のインカムを提供しています。極めて重要なのは、多くの新興国政府がグローバル債券市場へのアクセスを回復しており、様々なリスク許容度を持つ投資家が再び関心を示していることです。
こうした要因が相まって需要を押し上げ、最近のパフォーマンスを支えています。私たちは、このポジティブなトレンドが2026年も続くと予想しています。特に、フロンティア市場は非常に有望でしょう。多くの国がパンデミックによる混乱を乗り越え、より強固な基盤を築いています。
金の産出国であるガーナの金価格高騰の恩恵による回復からエジプトの経済改革の進展に至るまで、政府支出は改善し、外貨準備高はより健全な水準にあり、債務の持続可能性も高まっています。多額の対米貿易黒字を計上するフロンティア国はほとんどなく、これはリターンが各国の国内情勢により大きく左右されることを意味します。インデックス全体で見ると、フロンティア債の利回りは依然として9.1%と魅力的な水準にあります[1]。
ハードカレンシー建て新興国社債:着実に歩を進める
社債に関しても、ファンダメンタルズは強固です。インデックス全体では、この資産クラスは平均すると投資適格格付けを有しています。現在、新興国社債の需要は供給を上回っており、投資家にとって堅調なリターンにつながっています。ここ数年、新興国企業は過度に積極的な経営姿勢に転じてはいません。これは、債務水準が2008年以来の低水準にあり、欧米の競合他社をなお下回っていることに反映されています。
新興国社債に投資する際、私たちは格付けが低い国で事業を展開する企業の社債を保有することを好みます。多くの場合、これらの企業は先進国の企業よりもバランスシートが強固なためです。投資家はより高い利回りを得られる可能性があると同時に、ファンダメンタルズがより良好な企業に投資することになります。
インデックス全体で見ると、新興国社債の利回りは低下傾向にあり、今では6%弱となっています。しかし、新興国のハイイールド債市場のバリュエーションは、先進国市場と比較してなお魅力的に見えます。執筆時現在、新興国のハイイールド社債の利回りが7.5%であるのに対し、米国のハイイールド社債は7%となっています。
現地通貨建て新興国債券:さらなる上昇余地
最近の下落にもかかわらず、米ドルは依然として割高な水準にあります。これは、新興国の現地通貨建て債券市場の利回りが魅力的であることを意味します。現在の環境は、個人投資家にインカムと為替差益の両方を得られる可能性を提供しており、この組み合わせは足元の市場では比較的稀と言えます。
広く参照されているJPモルガン新興国現地通貨建て債券インデックスの構成国のうち、私たちは8~10ヵ国の中央銀行が2026年も利下げサイクルを継続すると考えます。また、フロンティア国、特にインフレ対策として大幅な利上げが実施され、今では金利が極めて高い水準にある国(ナイジェリア、ガーナ、エジプト、カザフスタン)でも利下げ余地があります。私たちは、現地通貨建て債券のポートフォリオにおいて引き続き利回りを追求する方針です。低利回りのアジア諸国をアンダーウェイトとする一方、より利回りの高い中南米、欧州、中東、アフリカ諸国をオーバーウェイトとしています。
おわりに
新興国債券は、投資家に分散投資効果、魅力的なインカム、より急速に成長している国へのエクスポージャーを提供します。2025年の非常に力強いパフォーマンスの後でもなお、先進国債券と比較して利回りは魅力的な水準にあります。従来のグローバル債券を超えて、インカムと分散投資を求める個人投資家にとって、新興国債券は有力な選択肢となるでしょう。
本内容は、原則として機関投資家のお客様への情報提供を目的として作成・公開しています。
- 31 January 2026, JP Morgan.




