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2026年に新興国市場のインカム投資に注目すべき理由

新興国株式市場はグロース投資と結び付けられることが多いものの、トータルリターンを重視する現在のアクティブ投資家にとっては、独自の魅力を備えたインカム投資のユニバースとなっています。本稿では、その新たな側面に光を当てます。

執筆者
シニア・インベストメント・ディレクター
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所要時間: 2 分

日付: 2026年6月05日

新興国株式市場は一般的に、グロース投資の観点から捉えられています。しかし、その視点だけでは、重要な側面を見落とすリスクがあります。

新興国株式市場は今では、トータルリターンを重視するアクティブ投資家にとって、広範で魅力を増しているインカム投資のユニバースでもあります。

私たちは、配当を獲得する機会の拡大と構造的な成長ポテンシャルの組み合わせにより、新興国株式市場は非常に魅力的でありながら、往々にしてその投資機会は過小評価されていると考えています。

新興国市場におけるインカム投資の有効性

インカム投資は、成熟した市場と結び付けられる傾向にあります。しかし、新興国株式市場は今では、多くの投資家が認識しているよりも、厚みのある確立されたインカム投資の環境を提供していることがデータから示されています。

新興国市場において、有配企業は例外ではなく、一般的になっています。2010年以降、新興国市場の有配企業の割合(約85%)は、先進国市場の割合を上回ることが多くなっています(図表1)。

図表1:先進国市場を上回る新興国市場の有配企業の割合

こうした変化は、コーポレートガバナンスの改善、バランスシートの強化、株主還元の重要性に対する認識の高まりを反映しています。

同様に重要なのが、得られるインカムの水準です。新興国企業の半数以上で配当利回りが3%を超えており、この資産クラスにおけるインカム投資の有効性を浮き彫りにしています(図表2)。

図表2:新興国企業の50%以上で配当利回りが3%を上回る

特に重要なのは、これらのインカム収益は、構造的な成長ドライバーによってますます下支えされている点です。例えばテクノロジー分野では、多くの新興国企業が半導体、コネクティビティ、メモリのグローバルなサプライチェーンの中核に位置しています。人工知能(AI)やデジタル化に関連する需要の高まりは、利益成長と配当余力の両方を後押ししています。

インカム投資の対象は、通信セクターや公益事業セクターだけなのか?

インカム投資は、伝統的なディフェンシブ・セクターに集中した限定的な投資機会にとどまるという見方が一般的です。

しかし、新興国株式市場にこれは当てはまりません。配当を獲得する機会は金融、素材、エネルギー、テクノロジーなど幅広いセクターにわたっています(図表3)。

図表3:セクター別の時価総額加重平均利回り

インフラ関連セクターは、こうした裾野の広さの好例です。デジタル化やエネルギー転換のトレンドなどにより、電力、電化、送電網の更新に対する需要は高まっています。銅などの素材は、エネルギー・サプライチェーンの進展と相まって、伝統的な高利回りセクターにとどまらない、インカム獲得機会の多様性を示しています。

同じことが地理的にも当てはまり、アジア、中南米から中東、東欧まで、幅広い国・地域に魅力的なインカム獲得の機会があります(図表4)。

図表4:国・地域別の時価総額加重平均利回り

総合すると、こうした裾野の広さは、新興国株式市場におけるインカム投資が限定的、またはディフェンシブなものであるという見方に疑問を投げかけています。実際には、新興国株式市場への投資は、幅広いセクターや地域にわたる、分散されたインカム獲得の機会を提供します。

利回りは成長を阻害しない

もう一つの誤解は、インカム投資では成長が犠牲になるという点です。私たちは、新興国株式市場においては、その逆であることが多いと考えています。

新興国株式市場の配当は、ファンダメンタルズの改善や経済の拡大に支えられ、力強い伸びを示してきました。2000年代初頭以降、新興国市場の配当の成長は先進国市場を大幅に上回っており、過去20年間の配当の年平均成長率(CAGR)は12%近くになっています(図表5)。

図表5:新興国株式市場における過去20年間の配当の成長

これは、企業が成熟するのに伴い、企業利益の拡大と配当性向の上昇が同時に起こっていることを反映しています。

重要なことに、このような配当の成長は長期的な構造トレンドに下支えされています。インフラ投資の増加、デジタル技術の拡大、消費者需要の高まりがいずれも、より強固で持続可能なキャッシュフローの創出に寄与しています。

新興国全体で所得が増加し、中間層が拡大する中、主要な国内ブランドは需要の増大や収益性の向上の恩恵を受けており、これが配当の成長を後押しする背景となっています。

言い換えれば、新興国株式市場においてインカムと成長は互いに排他的ではありません。むしろ、両者は密接に結びついています。

トータルリターンの2つの構成要素

インカムは歴史的に、新興国株式市場のトータルリターンに寄与する重要な要因となってきました。

新興国株式市場の配当リターンは過去20年間、MSCIユニバースの中でトップクラスの水準にあります(図表6)。

図表6:トータルリターンに対する配当の寄与度

配当の複利効果は、投資家のリターンの約半分を占めています。一方、株価リターンは主にキャッシュフローの成長によって牽引されており、これが配当の成長の原動力にもなっています。

トータルリターンは株価リターンと配当の組み合わせによってもたらされているものの、重要なのは、インカムが長期にわたり一貫して大きな役割を果たしてきたという点です。

これは好循環を反映しています。つまり、力強い経済成長が企業収益を押し上げ、それがひいては配当の成長を支え、リターンのインカム部分を強化しています。

なぜ今なのか?

地政学的な不確実性が続く中でも、新興国株式市場の長期的な見通しは損なわれていません。

この資産クラスは、世界の新たな設備投資サイクルに支えられ、上昇局面の初期段階にあるとみられます。エネルギー安全保障、サプライチェーンの強靭性、防衛費、AI投資に対する注目の高まりといった構造変化が、世界的に投資の拡大を促しています。

こうしたトレンドは、新興国が持つ強みと合致しています。新興国は、重要なコモディティの生産国であるほか、グローバルなサプライチェーンやテクノロジーのエコシステムにおける主要なプレイヤーでもあります。

バリュエーションも支援要因となっています。MSCI新興国株価指数が直近の好調なパフォーマンスの後でも、なおS&P500種株価指数に対して40%割安な水準で取引されている一方、利益予想は上方修正されています。

魅力的なバリュエーションと利益モメンタムの改善という組み合わせは、アクティブ運用マネジャーにとって好ましい環境をもたらす可能性があります。

おわりに

新興国株式市場は、インカム重視の投資家にとって魅力的な投資先へと変化しつつあります。

有配企業の裾野は広く、現在では大半の企業が利益を分配しており、その半数以上で利回りが3%を超えています。

同時に、ファンダメンタルズの改善や構造的な経済トレンドに支えられ、配当の成長も力強くなっています。

特筆すべき点として、インカム獲得の機会は幅広く、様々なセクターや地域にまたがっており、テクノロジー、インフラ、消費の分野における長期的な投資テーマによって後押しされています。

従来のグロース投資のストーリーの先を見据えようとする投資家にとって、新興国株式市場はより多面的な価値を提供しています。すなわち、新興国株式市場への投資は、足元の魅力的なインカムの可能性と、将来にわたってトータルリターンを下支えし得る構造的要因へのエクスポージャーが組み合わさったものなのです。

本内容は、原則として機関投資家のお客様への情報提供を目的として作成・公開しています。

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