新興国インカム株式戦略:9つの重要な質問
進化を続けるアバディーンの新興国インカム株式戦略について、リード・ポートフォリオ・マネジャーがこれまでの主要な教訓を振り返るとともに、今後の投資機会を展望します。

所要時間: 2 分
日付: 2026年6月23日
本稿では、新興国インカム株式戦略のリード・ポートフォリオ・マネジャーであるMatt Williamsが、この戦略において2024年にローンチした最新の投資ビークルの資産残高がこのほど10億ドルを突破したことを受けて、2012年の運用開始以来の戦略の進化を振り返り、リターン要因、運用手法を支える不変の原則、新興国市場の見通しが引き続き魅力的である理由について、9つの重要な質問に答えます。
新興国インカム株式戦略の運用にはどのような特徴がありますか。
私たちの出発点はシンプルです。市場では企業のファンダメンタルズのミスプライシングが定期的に発生しています。私たちは、キャッシュフロー、利益、リターンに関する独自の長期的な見通しを構築し、それをすでにバリュエーションに反映されている水準と比較することで、こうした乖離を特定することを目指しています。
この規律あるアプローチは常に一貫しており、ボトムアップ分析と、持続的なビジネスモデルを持つ企業の発掘に注力することに根ざしています。
これまでを振り返ると、最も際立っている出来事やテーマは何でしょうか。
生成AI(人工知能)の急速な台頭は、決定的なテーマとなっています。私たちは、AI基盤モデルを開発する企業のみに注目するのではなく、無線通信向け半導体メーカー、半導体設計企業、メモリ・メーカーなど、実社会での応用を通じてこの技術の収益化を支援する企業を、投資対象としてますます重視しています。
より広い視点で見ると、新興国株式市場は価格下落耐性を示してきました。地政学的な不確実性が背景にある中でも、この資産クラスは2025年に34%上昇し、年初来(4月下旬時点)では約15%上昇しています。同時に、新興国株式はS&P500種株価指数に対して40%割安な水準で取引されていることから、バリュエーションは引き続き極めて魅力的であると考えられます[1]。
戦略の運用開始以来、投資哲学のどのような側面が変化しておらず、なぜそれらが今なお重要なのでしょうか。
私たちの哲学は変わっていません。私たちは、キャッシュフローが企業の質を示す最も明確かつ信頼性の高い指標の一つであると判断しており、このアプローチを「フォロー・ザ・キャッシュフロー(キャッシュフローの追跡)」と表現しています。これは、経営陣の主張を検証し、持続可能なファンダメンタルズを持つ企業に焦点を当てるのに役立ちます。
私たちはまた、インカムを新興国株式市場のトータルリターンにおいて極めて重要でありながら、見落とされがちな要素であると考えています。この資産クラスは著しく進化しており、今では新興国企業の半数以上で配当利回りが3%を超えている[2]ほか、2010年以降、新興国市場における有配企業の割合(執筆時現在約87%)は先進国市場を上回っています[3, 4]。つまり、投資家にとって、インカムと成長は相反する目標ではなく、互いを補完し合うリターンの原動力であると言えます。
戦略の成熟に伴い、そうしたアプローチはどのような点で進化してきましたか。
根底にある投資哲学は一貫して変わっていませんが、それを支える枠組みは時間の経過とともに進化しています。私たちは約10年前にポッド(ポートフォリオ構築チーム)体制を導入することで、説明責任を強化し、ポートフォリオ構築の規律を向上させました。
これにより正式なリスク監視機能が加わり、各運用チームは、投資リスク&プロセス・チームのサポートの下、アバディーン独自の株式リスク・ツールから得られる知見を活用し、エクスポージャー、相関、マクロ・シナリオを定期的に検証しています。その結果、リスクを厳格に管理しながら、銘柄選定とポートフォリオ構築の間で一貫したフィードバック・ループを確保することが可能になっています。
様々な市場環境を通じて新興国インカム株式戦略を運用する中で、得られた主な教訓は何でしょうか。
重要な教訓の一つは、バランスの重要性です。このアプローチは、単一のスタイルに依存するのではなく、増配企業と高配当企業を組み合わせるものです。これは、サイクルを通じてより耐性の高いリターン特性を実現することに寄与します。
このようなアプローチがアンダーパフォームする局面はあります。特に、この戦略の投資ユニバース外にある、キャッシュフローをまだ創出していないアーリーステージの企業や、構造的に衰退している成熟企業(バリュートラップ)を市場が好む場合にそうなります。しかし、歴史的に見て、こうした局面は短期的なものに終わっています。時間の経過とともに、市場はキャッシュの創出やファンダメンタルズに再び焦点を当てる傾向にあり、これこそが私たちのアプローチが最も強みを発揮するところです。
戦略の運用開始以来、インカムはリターンの向上や耐性の確保において、どのような役割を果たしてきましたか。
インカムは、2012年の運用開始以来、この戦略の全体的なパフォーマンスに寄与してきました。私たちは、通常ベンチマークを上回る利回りを提供することを目指しています。重要な点として、インカムはリターンの平滑化にも有効であり、より長期的な投資が実を結ぶまでの間、トータルリターンを下支えする可能性があります。インカムは、キャッシュフローが潤沢で、規律ある資本配分を行う企業によって創出され、循環的というよりも持続可能なものであると考えられます。
投資家は通常、ポートフォリオにおいて新興国インカム株式戦略をどのように活用していますか。また、それは時間の経過とともに変化していますか。
投資家は、新興国インカム株式戦略を新興国株式投資のコア配分としたうえで、よりテーマ型や高成長型のサテライト投資でそれを補完することが可能です。このような構成は、ボラティリティが高くなり得る資産クラスにおいて、よりバランスの取れたリターン特性を求める需要を反映しています。
このところパッシブ投資からアクティブ投資への緩やかな移行が進んでいます。私たちは、インカムと銘柄選定の組み合わせが、よりバランスの取れたトータルリターンを提供し得ると考えており、こうしたアプローチは価格下落耐性と長期的な成長の両方を求める投資家の支持を集めています。
戦略の拡大に伴い、投資家からはどのようなフィードバックが最も多く寄せられていますか。
投資家は一貫して、私たちの運用手法が持つ規律と再現性を重視しています。また、世界7拠点に約50名の投資プロフェッショナルを配置し、現地の事情に関する知見や経営陣へのアクセスを提供する大規模なリサーチ体制も、高く評価されています。
さらに、ポートフォリオの構造は、大きな優位性として際立っています。増配企業(2000年代初頭以降、新興国企業の配当は先進国株式市場を上回る年間約12%のペースで増加しています[5])と高配当企業のバランスを取ることで、私たちは様々な市場環境を乗り切る上で有効な分散効果を提供しています。これに適切に管理されたアクティブ・リスクを組み合わせることで、投資家から安定性と力強さを兼ね備えていると評価されるリターン特性を実現しています。
今後については、最も魅力的な投資機会や主なリスクはどこにあると考えていますか。
最近の地政学的緊張にもかかわらず、私たちは新興国株式市場に対して楽観的な見方を維持しています。世界的な設備投資の拡大、データセンター・インフラの拡充、国防費の増加、脱炭素化、サプライチェーンの多様化など、現在のサイクルの背景にある構造的な原動力は損なわれていません。新興国は、これらの分野の多くにおいて中心的な役割を果たしています。
これはアクティブ投資家、特に潤沢なキャッシュフロー、底堅い利益、持続可能なリターンを創出している企業に注力している投資家にとって、魅力的な投資環境をもたらしていると考えられます。
おわりに
私たちの運用手法の強みは、一貫性、キャッシュフローの重視、バランスの取れたポートフォリオの構築にあります。新興国株式市場が進化を続ける中、こうした規律を維持することは、私たちが長期的に投資機会を捉え、リスクを管理していく上で引き続き極めて重要な柱となっています。
本内容は、原則として機関投資家のお客様への情報提供を目的として作成・公開しています。
- MSCI, Bloomberg, LPL Research, Aberdeen, as at April 2026.
- Factset, Jefferies Equity Research, April 2026.
- Factset, Jefferies Equity Research, 31 March 2026.
- Factset, Jefferies Equity Research, 31 March 2026.
- Factset, Jefferies Equity Research, 31 March 2026.




